サステナビリティなサービス開発に向けた提言  ~CASES(ケイシーズ)のご紹介~

本記事では、alphaboxが提供するCASES(Customer and Sustainability Experience Solutions)についてご紹介します。

注目の高まるサステナビリティ

近年、SDGsをはじめとする、企業のサステナビリティへの関心が高まっています。

サステナビリティへの意識が加速したきっかけのひとつとして、2019年に始まったCOVID-19の感染爆発が挙げられるのではないでしょうか。

COVID-19では、感染拡大防止のため人々の活動や移動制限がかかることにより、経済活動が縮小し、企業収益が減少するだけでなく企業活動の停止にまで及ぶ企業が急増しました。

こうしたことが、そもそもの企業活動がなんのために行われているのかという、より広い視野で企業活動を捉えるきっかけともなり、若年層を中心にサステナビリティに対する意識も高まりつつあります。 実際に、コロナが始まった2020年から2022年のSDGs関連ワードの認知率を見ると、2020年以降、急激に認知率が増加していることが分かります。

そのような背景から、近年、今まで他人事としてとらえられていたサステナビリティが自分ごと化され、地球環境への取り組みや人権問題等、財務諸表上には見えてこない活動が評価される機会も増えてきました。

一方で、世間の関心の高まりを受けサステナビリティに取り組んでいるものの、自社の取り組みがなかなか生活者に浸透しておらず、収益化できていない企業も多いのではないでしょうか。

この記事では、サステナビリティに関する企業と生活者の課題と要因を明らかにし、今後、生活者の行動変容を促すためにはどのようなソリューションが考えられるかを提案します。

サステナビリティにおける課題

企業の課題:施策を実施しているものの、利益に結びついていない

企業においては、「社会的責任の観点からサステナビリティを実施しなくてはならず、サステナビリティは長期的に事業成長に寄与しうる」という考え方が浸透しつつあります。

一方で、顧客に体験価値を十分に提供できるサステナビリティ施策は少なく、利益に結び付くような成功事例はいまだに少ないことが現状です。 そのため、「サステナビリティを顧客価値に転換することで顧客の行動変容を促し、利益に結び付ける」ことが今後の企業活動において重要と考えられます。

消費者の課題:課題意識はあるものの、行動に移せている生活者は全体の1割

実際に生活者のサステナビリティ意識や行動を見てみると、企業が望んでいるほど生活者の行動が変わっていないことが分かります。

例えば、消費者庁が令和4年6月に公表した「令和4年度版消費者白書」によると、SDGsやエシカル消費に関し、「SDGsやエシカル消費に対し、興味を持っている」人口の割合は約半数に上りますが、実際に行動に移している人口の割合は全体に対し約13%程度しかいないことが分かります。

つまり、生活者はサステナビリティに対し概ね賛成である一方、実際の行動については後回しにしている状態であり、生活者の意図と行動にギャップが存在していることが分かります。

企業と生活者の課題を解決する:生活者を動かすために重要になるSCX

それでは、生活者の行動を変え、企業や行政が掲げる望ましい結果に近づけるためには何をすることが一番良いのでしょうか?

まずは、このギャップを語る上で重要になる、SXとCXの定義について確認しましょう。

本記事では、SXと CXを以下の通り定義します。

SX(Sustainability transformation):企業のサステナビリティ行動

企業として、環境・社会・経済的側面から多面的に企業経営・事業を持続可能な体制に移行していくこと

CX(Customer Experience):顧客体験

顧客が、企業やブランドとの取引を開始してから終了するまでの期間(か顧客ライフサイクル)において、顧客が得る体験や価値、メリット

前節でも述べた通り、現在の課題は、SX(企業のサステナビリティ行動)が促進されている一方、CX(顧客体験)が追いついておらず、SXとCXの間にGAPが存在していることだと考えることができます。

そこで、私たちはSXとCXが融合したSCX(Sustainability Customer Transformation)を目指すべきであると提言します。

SCXを達成するためのアプローチ=CASES(ケイシーズ)

CASES

前章で述べたSCXを達成するために、alphaboxではCASES(Customer and Sustainability Experience Solutions)というサービスを用意しております。

CASESでは各領域の専門家や専門企業と提携し、企業と生活者の間にあるサステナビリティに関する課題を解決していくことを目指しています。

SCXを達成しうる4つの柱

CASESでは、「生活者自身が自ら行動したいと思えるような仕組み・仕掛け」を目指して、①人の行動特性②デザイン③デジタル④空間の4つのアプローチを組み合わせた解決方法を提案します。

各アプローチの概要については以下の通りです。

①人の行動特性からのアプローチ

行動科学の知見に基づき、人々が自分自身にとってより良い選択を自発的に取れるように手助けする手法(ナッジ)を活用。生活者がサステナブルな行動をとるきっかけを創出

②デザインからのアプローチ

広告代理店が持つ生活者知見や行動分析のナレッジに基づき、クリエイティブの力で生活者にサステナビリティ関連の体験やブランド体験を提供

③空間からのアプローチ

生活者が心地よいと感じる空間とサステナビリティを掛け合わせることで、生活者にとって無理がなく快適なサステナブル行動を実現

④デジタルからのアプローチ

デジタル技術で行動の見える化等を行い、生活者に気付きを与えることで、サステナブル行動を促進 次章では、4つのアプローチを中心に、より具体的な事例案をご紹介致します。

具体的なアプローチ案のご紹介:気候変動への対策

前章でご紹介した4つのアプローチについて、具体的にどのようなケースが想定されるかをご紹介いたします。

例えば、サステナビリティ経営のパーパスとして頻繁に取り上げられる、「地球環境保全のための脱炭素に関連する行動」について、以下のようなギャップがサステナビリティと顧客体験の間にあると想定されます。

SX(企業のサステナビリティ行動)の観点:

気候変動に対応するため、CO2の排出量を削減すべき

CX(顧客体験)の観点: 節電や脱炭素のための行動をしてもどの程度貢献したか分からず、具体的に何をしたら良いか分からない。また、我慢してまで節電しようと思わない

上記のようなギャップをどのようにすれば埋められるでしょうか?

以下では、リモートワークの増加によりCO2排出量が急増したと想定される「自宅家屋」を対象に、4つのアプローチを活用するとどの様に生活者の行動変容を促すことができるか、具体的に紹介致します。

①行動特性アプローチ

行動特性アプローチにおいては、損失回避性(損に繋がる行動を回避する人間の特性)を生かした、きっかけ作りができると考えられます。

例えば、各家庭に電気料金を請求する際に金額を記載するだけではなく、省エネが成功している世帯と比較して何円損をしているか記載することで、消費者の「損をしたくない」という気持ちを刺激し、省エネ行動を促すことが可能になると想定されます。

②デザインアプローチ

デザインアプローチにおいては、生活者が思わず電気を切りたくなるようなスイッチをデザインすることで、生活者の行動変容を促すことが考えられます。

例えば、電気スイッチのOFF部分にイラストを印刷し、電気を消すとイラストが完成するスイッチデザインにすることで、電気を消す行為を促します。 また、視覚的デザインは直感的に理解しやすく、子供にも気付きを与えることができるため、大人だけでなく子供も巻き込んだ省エネ活動が可能になります。

③デジタル体験アプローチ

デジタル体験アプローチにおいては、アプリを活用した電力の可視化や電力測定機器の導入が考えられます。

使用した電気量は、プラスチックや廃棄物と異なり目に見えないため、自分の省エネ行動の結果が分からなかったり、具体的に何をしたら良いか分からなかったりという消費者が一定数存在します。

そのため、デジタル技術を活用し、自分の努力がどれだけ省エネ活動に貢献したのか可視化することで、消費者の行動変容を促すことが可能になると想定されます。 また、可視化のプロセスの中で電力消費量の大きい電子機器を特定し、どのような行動をとれば更なる省エネにつながるのかといった示唆を出すことも可能になります。

④空間デザインアプローチ

空間デザインアプローチにおいては、生活者の周辺地域の空間を整備し、外出を促すことで、自宅での電力消費量を減らすことが可能になると想定されます。

例えば、人口密度が高い地域の商業施設やコミュニティスペースの空間を整備し、コロナ感染等の社会的情勢も考慮した、人が集まりやすい空間を設計することで、近隣住民の自宅にいる時間が短くなり、結果的に地域全体における電力消費量を削減することが可能になります。

また、省エネ効果だけではなく、近隣商業施設の活性化等、地域やコミュニティの活性化につながり、地域の持続可能性にも繋がると考えられます。

近年、海外からのエネルギー供給不足により電力価格が高騰し、「電気代を抑えたいが何をしたら良いか分からない」と考える消費者が増えている背景に鑑みると、以上のような省エネ関連の施策は訴求しやすいアプローチであり、チャンスがある領域だと考えられます。

終わりに

本記事では、サステナビリティに関する企業・生活者の課題と、そのソリューション案について述べてまいりました。

本文で述べた通り、企業や行政としてはサステナビリティ施策が進んでいるものの、消費者の行動変容はなかなか進んでいないという現状の課題が存在しています。

課題を解決するための考え方として、企業の施策(SX)と顧客体験(CX)が融合したSCXが重要になります。

alphaboxが提供するソリューション「CASES」では、4つのアプローチを軸に各領域の専門家や企業と連携し、SXCを実現することで、生活者の行動変容を促すための解決策を提案しております。 「サステナビリティの取り組みを行っているが、なかなか生活者の行動変容や認知を促すことができない」とお悩みのご担当者様がいらっしゃいましたら、是非お問い合わせフォームよりご連絡ください。

サステナビリティ

シニアCXディレクター

末廣 英之

生活者視点をベースに、ブランド戦略立案、未来洞察、新商品・サービス開発、リアル・デジタル体験の融合、空間・都市開発、組織風土改革、海外進出支援などに従事。パーパス実現のためのCX/DXとはどうあるべきかに日々取り組んでいます。

サステナビリティ

CXディレクター

中村 俊郎

顧客視点・企業視点の両面から企業のDXを支援。最近では、アート思考とデザイン思考を融合させた新サービス・事業開発「Innovation Fish」や、サステナとCXを融合させた新サービス・事業開発「CASES」などを中心に担当。

サステナビリティ

CXコンサルタント

江澤 桃子

顧客視点・企業視点からCX/UX施策を実施。前職では総合コンサルティングファームにてヘルスケア、新エネルギー、脱炭素等に関する戦略案件に従事。

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